こんにちは。塾長です。
車の運転は、教習所で習うことが全てではありませんが、機械である以上、操作するドライバーの行動が手順を追った正式なものであればこそ「便利なツール」となるものです。
ニュートラルのダメ操作

教習所は、車の基礎的な手順と知識を習います。
運転歴が長くなることでいつしか「自己流」の運転になり、免許所有者が同乗した時に「えっ!?」と困惑されてしまう人、意外と多いんじゃないでしょうか。
今回は、その中でも代表的な「ニュートラル」の使い方にフォーカスしていきます。
下り坂でのニュートラル走行
バイパスなどの広い一本道では、時折数㎞の長い下り坂があります。
その下り坂になるまで速度を保ち、下り坂に入ると同時にニュートラルにして「惰性運転」するのが、昭和~平成初期のMT車乗りの間で、暗黙の了解的な燃費向上の裏ワザとして横行していました。
ATが主流化して、燃費効率が重要視されてき出した2006年頃からATの性能が向上、全体的な燃費性能の効率化に成功したと言えるでしょう。
一方、未だMT時代のクセが抜けきれない人も多く、高性能なATになってもニュートラル走行をしてしまうケースがあるようです。

ニュートラル走行はなぜダメか
ニュートラル走行が誤った使われ方であることを紹介しましたが、なぜ誤りなのでしょうか。
それはシンプルに「危険」だからです。その内訳を詳しく見ていきましょう。
エンジンブレーキが効かない
ニュートラルは、トランスミッション内部のどの歯車にも触っていない状態を言います。
すなわち、エンジンの回転力の影響がないため、エンジンブレーキも効かない状態です。
下り坂でエンジンブレーキが効かないと、フットブレーキしかブレーキがない状態で、それが長距離、長時間に及んだ場合、「フェード現象」や「べーパーロック現象」を引き起こしかねないリスクを孕んでいます。
こちらの記事↓でフェード現象やべーパーロック現象について詳しく解説しています。
ATにダメージが蓄積
100歩譲って、MTならばまだマシとしましょう。
上手い人なら、状況を見据えてクラッチ操作とアクセルワークでトランスミッションの負担を最小限にエンジンブレーキを効かせるテクニックも持ち合わせているためです(でも、ダメはダメですからね)。
もしそれがATだった場合は、アウトです。
ATは3つの部位からできていて、エンジンの回転力を効率的に変速できるようになっています。
その変速に関わる部位にはクラッチ機構があり、電子制御で最適なギアに変速をしていますが、そこに通常ではない入力があればクラッチ機構に負荷がかかり、AT自体の寿命を縮めてしまいます。
ニュートラルの役割

「ニュートラル」とは本来どんな役割で、どんな使い方が正しいのか、運転免許をお持ちの方なら周知の事と思いますが、これから運転免許を取られる方の予備知識の意味も込めて、ここで改めて解説しましょう。
ニュートラルの仕組み
車の発進、後退(バック)は、エンジンの回転力をトランスミッションを介してタイヤに伝えるシステムで、トランスミッション内部の歯車を切り替える事で発進、加減速、後退が可能になります。
ニュートラルは、トランスミッション内部の「どの歯車にも触っていない状態」で、アクセルを踏んでも発進や加速はせず、エンジンが唸るだけです。
MT車では、シフトチェンジの為にクラッチ操作をすることで一時的にニュートラルと同じ状態にさせることができます。
ニュートラルの正しい使い方
ニュートラルは、本来「緊急事態のための機構」です。
例えば走行中、予期せぬトラブルで車が止まってしまった場合は、車を路側帯などの安全な場所まで移動させなければなりません。
その時にシフトがDレンジやPレンジに入っていると車を動かすことができません。(AT車の場合)
そこで「動かなくなった車を手動で動かすため」の機構としてニュートラルがあるわけです。
とはいっても、軽自動車でも数百㎏の鉄の塊です。一人で動かすにはかなりの体力、気力、腕力、根性が要求されます。
そんな時は思い切って助けを求めましょう。
また、レッカー移動の際にも基本、ニュートラルにします。
前後共にクラッシュしてどうしようもなければ車載トラックに積むしかありませんが、舵輪でない後輪が無事ならフロント側をリフトアップしてレッカーします。
その際、駆動方式がFRやMR、4WDの車はサイドブレーキを解除してもシフトがニュートラル以外にあれば動かなくなるので、ニュートラルが必要と言うわけです。
まとめ
ニュートラル走行が危険であることはご理解いただけたかと思います。
今のATは性能的にかなり進化したものと言えるでしょう。
ニュートラル走行をしてしまう理由は、「燃費」であるケースが大半で、長い間の繰り返しによって習慣化してしまっているものと思われます。
「今のATはニュートラル走行しない方が燃費が良い」という「意識のアップデート」をすれば、少しずつ本来のドライビングを取り戻せるのではないでしょうか。
明日も安全運転で、行ってらっしゃい。
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