自動車免許は取るならMT 、ATどっちがいい?タイプ別に見る2つの特徴

自動車

こんにちは。塾長です。

現在、ほとんどの乗用車はAT(オートマチック トランスミッション)が採用されています。

理由は至ってシンプルで「楽だから」。

しかし、MT(マニュアル トランスミッション)も根強く残っていることから、どっちがいいか迷う人もおられるでしょう。

結論から言ってしまえば、「仕事に影響がないならどちらでも良い」です。

トラックの運送会社に内定をもらっている場合や、プロレーサーを目指しているなどでない限り、どちらの免許でも不自由はありません。

今回は、車の免許にも影響があるトランスミッションについて解説していきます。

自動車のトランスミッションとは

冒頭でも触れた通り、トランスミッションにはATとMTがあります。

トランスミッションとは、日本語で「変速機構」と言い、エンジンから生み出される「回転力」をタイヤに伝える装置で、大小たくさんの歯車が複雑に組み込まれてできています。

動力(回転力)を伝達するわけですから、当然歯車は回転しています。その回転を邪魔しないように歯車を段階的に変えていくことを「シフトチェンジ」といい、車が加減速するための動作になります。

そのためには、かみ合っている歯車を一時的に切り離す必要があり、それを可能にするのが「クラッチ」という機構です。

MT車では、クラッチペダルを踏んで歯車を切り離し、シフトレバーで歯車のポジションを上げ下げして、クラッチペダルを戻すことで加減速させる動作となります。この一連の動作を自動化したのがATというわけです。

それでは、各タイプの特徴を詳しく見ていきましょう。


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MT(マニュアル トランスミッション)の特徴

自動車が普及した最初の頃は、MTしかありませんでした。

今となってはレアなMTも当時は画期的な乗り物だったでしょうね。

では、ATが主流の現在の視点からMTの利点を見ていきましょう。

ペダル踏み間違い事故のリスクが低い

高齢者にありがちなペダルの踏み間違い。

これは重大事故を引き起こしかねないとても危険なミスです。

2019年4月に池袋で起きた凄惨な事故も、1人の老人がプリウスのペダルを踏み違えたことが原因とされています。

これがMT車であれば起こりにくいとされています。

なぜならば、クラッチペダルの操作と連動してアクセルペダルを操作することで車が動くからです。

もし走行中ペダルを踏み違えた場合、速度が変わらず、キックダウンによる急加速をすることはなく、一度ぶつかってしまえばエンストにより停止するからです。

運転操作を楽しめる

MTが採用されているものの一つに、「スポーツカー」があります。

レースでつちかわれたテクノロジーがふんだんに取り入れられ、とても速く走らせる事が出来る車種です。

行き過ぎると道路交通法違反(スピード違反)になってしまいますが、スタートから徐々にシフトチェンジしていき、止まるときはブレーキと同時にシフトダウンすることでエンジンブレーキを徐々に強めていく手法をとります。

自分が動かしている」感覚が強く、車との一体感があるため愛好家も多く存在します。

燃費的にも悪くない

ドライバーの任意のタイミングでシフトチェンジしていくので、その車の燃費効率の最大値の回転数を狙ってシフトチェンジすることで各ギアで安定した燃費効率の良い走行ができ、乗り方を意識すればカタログ値に迫る燃費を達成した事例もあります。

それには、その車の燃費効率の最大値がどの回転数なのかを知る必要がありますし、当然ながら車によって差があります。

教習所では教わらない専門的な知識も要求されますので、一般的ではないかもしれません。

【補足】カタログには燃費の目安となる数値が記載されていますが、燃費を計る試験で出た数値なので、実際の燃費はカタログの数値より下回るのが定説となっています。

とにかく「めんどくさい」

MTの発進は、ブレーキと共にクラッチペダルを踏み込みます。

1速に入れてブレーキペダルを解除しながらクラッチペダルを半分くらいまで戻して(これを「半クラッチ」と言います)ブレーキを離してアクセルペダルを踏み込むのと同じタイミングでクラッチペダルを離していくことで車は動き出します。

この時、タイミングがズレたりすると、過負荷がかかり、エンジンが強制的にストップします。このことを「エンジンストール」略して「エンスト」と言います。

上り坂での「坂道発進」で特に起こり易く、初心者の試練としても有名です。

走り出しに成功したら、次はシフトチェンジです。

アクセルを離すと同時にクラッチペダルを目一杯踏んで、1速から2速にシフトチェンジ。

クラッチペダルを繋ぐスピードでアクセルを踏んでいくことで加速していきます。

2速から3速、3速から4速も同じ順序でシフトアップしていきます。

減速も基本は逆手順で、ブレーキを一定の力で踏んだままクラッチペダルを踏んで4速から3速へシフトダウン。

クラッチを離すことでエンジンブレーキが発動し、減速していきます。

とにかく両手両足が忙しいのがMTです。


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AT(オートマチック トランスミッション)の特徴

MTの概要はご理解いただけたでしょうか。次に、現在主流のATについて解説していきます。

とにかく「楽」

先に述べたMTの一連の動作を「ほぼ自動化」したのがATです。

エンジンをかけ、ブレーキを踏んでシフトレバーをPからDに移行し、ブレーキを解除するだけで車が走り出します。(勿論、サイドブレーキは解除します)

そのままアクセルを踏んでいけば加速し、離せば緩やかに減速していきます。

MTのシフトアップが自動化され、シフトダウンは任意でもできますが、クラッチ操作が自動になっているため、クラッチペダルがありません。(トランスミッション内部にクラッチ機構はあります)

シフトアップを無段階に行うCVTも、ATから派生したものです。

車の基本動作は「走る」「止まる」「曲がる」とされていますが、そのうち「走る」と「止まる」がそれぞれのペダル一つでできてしまうのがAT最大の特徴です。

なので、左足を一切使わずに車を動かすことができます。

クラッチ操作がなくなるだけでも、かなり楽になりますよね。

キックダウンが仇に

キックダウンは急な上り坂や高速道路で追い越しをかける時など、一時的に急加速を必要とする場合に、ドライバーの意志で実行できる機構です。

近年、増加傾向にある高齢者ドライバーによる「ペダルの踏み間違い事故」。

これは、 「恐いと思ったら動かなくなる 高齢者特有の現象が原因とされいます。

特にATで起こりうるもので、ブレーキと間違え、アクセルを踏み込んだら「キックダウン」になり、急加速してしまいます。

ブレーキは強めに踏み込む場合もあるため、これが間違えてアクセルだったら、「止まるはずなのに急加速した」事態になります。

「高齢者は恐いと感じたら動かなくなる」ことは教習所でも教わります。

それは運転中もしかりで、「ブレーキ踏んだつもりなのに加速した」ときは恐怖で固まります。

すなわち、急加速したまま「暴走」するわけです。

池袋の加害老人は「アクセルが戻らなくなった」と話していたようですが、「ペダルを踏み間違え、ブレーキのはずが加速してしまい、恐怖のあまり体が固まり、アクセルから足が動かなくなった」のが真相だと思われます。

高すぎる身分が災いし、散々叩かれているようですが…証言は嘘偽りではなかったようですね。

楽過ぎ

ペダルの踏み間違いも然りですが、ここまで運転の簡素化が進むと、楽過ぎるがゆえの「漫然まんぜん運転」を誘発するリスクを含んできそうです。

さらに数十年前には、中学生が親の車(AT)を運転して検問につかまり、警察官からどえらいこっぴどく叱られた事例もあったようです。(私じゃないですから(笑))

実際、年齢制限が15歳以上という昭和初期のような条件だったら、中学生が普通に運転していてもおかしくないほど今のAT車は運転がイージーになっています。

ハイテクデバイスの技術

問題があれば是正ぜせい、改善していくのが正しいセオリーです。

高齢ドライバーのペダル間違いが社会問題として表面化してきたことを受けて、自動車メーカー各社「安全装置」の開発に注力しています。

前後にセンサーやカメラを付けた「衝突防止機構」や、車線をカメラで読み取り、はみ出すと警告音と共に自動で戻ろうとする「車線逸脱防止機構」もオプションではなく標準装備とするケースも多くなっています。

そして極めつけが「自動運転」です。

ついにここまで来たか、という感じがしますね。まだ実用化にはなりませんが、実現すれば免許なしで乗れて、ハンドルすらない車が普通に走るようになると言います。

もはや映画の世界ですね。

こちらの記事↓で「自動運転」を深掘りしています。ご興味のある方は是非どうぞ。

MT免許の存在意義

今となってはなくなりつつあるMTですが、一部の車両には不可欠なため、残っているのも事実です。

そんな番外的なMT事情をちょっと覗いてみましょう。

トラック

軽油を燃料としたディーゼルエンジンを搭載するものが多く、重たい荷物、個数の多い荷物、長さのある荷物を積んで運搬するトラックは、MTとの相性が抜群です。

というのも重量物を運ぶ性質上、各歯車にかなりの負荷がかかるためで、特に発進する1速目は動かす力が強く要求されるので、従来のAT機構ではパワー不足となってしまいます。

また、減速に関しても強い制動力が求められ、エンジンブレーキのみでの減速は重量物の慣性(勢い)にたえきれず、トランスミッションのみならず、エンジンまで壊れてしまいかねません。

そのためトラックには「排気ブレーキ」という補助ブレーキが備わっています。

スポーツカー

レースで活躍した車両をベースに、そこで培われたノウハウやテクノロジーを投入して造られるスポーツカーも、MTと相性がいい車種といえます。

少しでも多くのシーンで速く走らせることが勝利のカギとなることから、カーブを曲がるために減速し、カーブを抜けた直後に急加速するために生まれた「ヒール&トゥ」というテクニックも、MTならではと言えるでしょう。

これはエンジンの回転数をトランスミッションの歯車の回転数とリンクさせる行為です。

完全にリンクされていれば、カーブを曲がり切った直後にアクセルを踏めば加速ができるテクニックで、自分の分身に指令を伝え、それを忠実に再現していると認識している人も多いでしょう。

良い子 善良なドライバーの皆さんはマネしてはいけません。(笑)

まとめ

免許の項目にも影響する二つのトランスミッションについて解説しました。

区分としては、ATの場合は「普通車はATに限る」という但し書きが追加されます。

つまり、「限定免許」となるわけですが、今の一般的な車の使い方を見れば、AT限定で苦労することはほぼないと思われます。

MTの場合は限定がないわけですから、普通車であればMTでもATでも運転は可能です。

因みに、免許取得にかかる費用はATが限定免許のため、若干安くなる傾向にあるようです。

どちらを選ぶにせよ、事故を起こさない「心がけ」は現役ドライバーでいる限り、持っていたいものですね。

コメント

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